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予告
2022/7/9(土)〜9/19(月・祝)
10:00〜17:00
茶の湯の陶磁器
三井家が収集した茶道具の中で、その中心となるのは陶磁器といえます。なかでも茶碗や茶入、花入や水指などには、釉薬の変化や器の姿などに「景色」を感じ、そのインスピレーションから多くは文学的な銘が付けられています。
器の中に自然を見出し、わび・さびの美を感じる茶道具独特の審美眼を、「景色を愛でる」という括りで取り上げます。銘が象徴する名品の「景色」を自然を見るような心持ちで鑑賞していただきます。
※新型コロナウイルス感染拡大状況等で、本展の開催時期・開館時間等について変更・中止の可能性があります。
三井記念美術館では、2005年開館以来の全館改修工事を、2021年9月から今年の4月まで実施いたしました。改修工事は空調機械設備の更新と、館内および展示ケース内照明のLED化、セキュリティ設備の更新、床の張替、エントランス・映像ギャラリー・ショップのリニューアルなど、全面的に行いました。
その竣工にあたり、ゴールデンウィークより館蔵品によるリニューアルオープンI「絵のある陶磁器 〜仁清・乾山・永樂と東洋陶磁〜」を開催し、引き続きリニューアルオープンIIとして「茶の湯の陶磁器 〜“景色”を愛でる〜」を開催いたします。新たなLED照明による展示をご堪能いただければ幸いです。
展示構成と主な出品作品
展示室 1茶碗
名碗とされる茶碗の多くには、その茶碗固有の「銘」や、その茶碗独特の器形や文様などにちなんだ呼び名、さらには所持者の名前にちなんだ呼び名などがありますが、それらの名称を決める大きな要素は、茶人の間で古くから共有されて来た「
茶碗に限りませんが、その器の形や釉薬の窯の中での変化を、あたかも自然の景色を見るように器の中に景色を見い出し、そこでひらめいた、いわばインスピレーションで付けられた名称が「銘」となります。そこに文学的な背景が加えられて教養の厚みが加わり、和歌がイメージされると「歌銘」と呼ばれたりします。
このような美意識は、日本の茶の湯に独特のものであり、そこには自然の移ろいの中で感じられるわび・さびの審美眼が根底にあるものと思われます。竹の花入や茶杓なども、自然にできた竹の染みなどの絶妙な美的バランスを「景色」として評価し銘が付けられますが、茶碗などの銘も、それと同じ美意識の中に包含されるのではないでしょうか。
古三島茶碗 二徳三島 伝千利休所持 1口
朝鮮時代・16世紀 北三井家旧蔵図1
粉引茶碗 銘残雪 1口
朝鮮時代・16世紀 北三井家旧蔵図2
図1は、千利休所持とされる高麗茶碗の
図2は、高麗茶碗のうちの
図3は、高麗茶碗のうちの
図4は、高麗茶碗のなかでも日本からの注文による
図5は、重要文化財に指定されている本阿弥光悦(1558〜1637)の黒楽茶碗。黒い釉の一部が縦に筋状になっており、それを黒い雲の間から降りしきる雨に見立てて「雨雲」の銘が付けられています。箱書に表千家六代の
斗々屋茶碗 銘かすみ 1口
朝鮮時代・16世紀 室町三井家旧蔵図3
玄悦茶碗 銘まきたつやま 1口
朝鮮時代・17世紀 北三井家旧蔵図4
重要文化財 黒楽茶碗 銘雨雲 1口 本阿弥光悦作
江戸時代・17世紀 北三井家旧蔵図5
8/9~9/19展示
展示室 2茶碗
ここでは前期に国宝の志野茶碗 銘
図6は、当館の国宝、志野茶碗 銘卯花墻です。日本で焼かれた陶磁器の中で、国宝は2碗しかありませんが、そのうちの1碗です。絵具による絵付けで絵が描かれた陶磁器は桃山時代から始まりますが、その早いものとして志野や織部があります。この茶碗は
国宝 志野茶碗 銘卯花墻 1口
桃山時代・16~17世紀 室町三井家旧蔵図6
7/9~8/7展示
展示室 3〔如庵ケース〕 茶道具取り合わせ
図7は、
如庵は有楽の号で、京都建仁寺正伝院に建てられた茶室の名でもありますが、北三井家十代の
織田有楽筆消息(八月廿日付 夕べは云々) 1幅
江戸時代・17世紀 北三井家旧蔵図7
展示室 4花入・水指
正面ケースに
図8は、備前徳利花入 銘
図9は、備前
図10は、信楽
図11は、伊賀耳付水指 銘
図12は、瀬戸
備前徳利花入 銘雨後月 1口
桃山時代・16~17世紀 室町三井家旧蔵図8
備前緋襷水指 1口
桃山時代・16~17世紀 室町三井家旧蔵図9
信楽不識形大水指 銘山猫 1口
室町時代・15~16世紀 北三井家旧蔵図10
伊賀耳付水指 銘閑居 1口
桃山時代・17世紀 北三井家旧蔵図11
瀬戸橋姫手水指 銘有明 1口
桃山時代・16~17世紀 新町三井家旧蔵図12
展示室 5茶壺・茶入
展示室5では茶入を展示いたします。
図13は、大名物の唐物肩衝茶入 銘
図14は
図15は、中興名物の瀬戸
唐物肩衝茶入 銘遅桜 大名物 1口
南宋時代・12~13世紀 室町三井家旧蔵図13
8/9~9/19展示
瀬戸二見手茶入 銘二見 中興名物 1口
桃山~江戸時代・17世紀 北三井家旧蔵図14
瀬戸落穂手茶入 銘田面 中興名物 1口
江戸時代・17世紀 室町三井家旧蔵図15
図16は、
図17は、
図18は、藤原行成筆とされる雲紙和漢朗詠集の古筆切で、千利休所持として伝わったものです。『和漢朗詠集』の下巻「雲」の断簡で、漢詩と和歌が記されていますが、和歌は『新古今集』にある恋の歌「よそにのみ見てややみなむ葛城の たかまの山の峰の白雲」がとられています。天地に藍や紫の雲形をすき込んだ料紙を「
膳所肩衝茶入 銘楽々浪 1口
江戸時代・17世紀 北三井家旧蔵図16
薩摩甫十瓢箪茶入 銘十寸鏡 1口
江戸時代・17世紀 新町三井家旧蔵図17
雲紙和漢朗詠集切 伝千利休所持 伝藤原行成筆 1幅
平安~鎌倉時代・12~13世紀 北三井家旧蔵図18
展示室 6香合
小さな展示室6では、和物香合の名品と、永樂保全・和全の
香合には銘が付けられたものは少ないですが、器形そのものの名称と、器形から想像した名称がつけられているものとがあります。保全や和全の交趾写しの香合は、龍や獅子、鳥や草花などの器形からの名称です。
図19は、志野重餅香合です。
図20は、織部砂金袋香合です。黄瀬戸や志野にやや遅れて始まる織部は、意匠性がより多様となります。この香合も
志野重餅香合 1合
桃山時代・16~17世紀 室町三井家旧蔵図19
織部砂金袋香合 1合
桃山時代・17世紀 室町三井家旧蔵図20
展示室 7楽茶碗・紀州御庭焼
展示室7では、展示室4に引き続き、正面ケースに
左側のケースでは、文政2年(1819)と同10年(1827)に紀州藩十代藩主の徳川
図21は、樂家初代長次郎(?~1589)の重要文化財黒楽茶碗 銘
図22は、通称「のんこう」で知られる樂家三代道入(1599~1656)の重要文化財 赤楽茶碗 銘
図23は、樂家六代左入(1685~1739)の黒楽茶碗 銘
図24は、北三井家六代の
重要文化財 黒楽茶碗 銘俊寛 長次郎作 1口
桃山時代・16世紀 室町三井家旧蔵図21
7/9~8/7展示
重要文化財 赤楽茶碗 銘鵺 道入作 1口
江戸時代・17世紀 室町三井家旧蔵図22
8/9~9/19展示
黒楽茶碗 銘真紅 左入作 1口
江戸時代・18世紀 北三井家旧蔵図23
赤楽雁絵茶碗 銘野分 三井高祐作 1口
江戸時代・文政2年(1819) 北三井家旧蔵図24
以上、茶の湯の陶磁器のなかで、釉薬や器形に“景色” を見い出し、ひらめいた銘をつけて鑑賞し、さらに古典文学や和歌の世界に想いを馳せて鑑賞するという、茶の湯独特の審美眼と美意識をご堪能いただければ幸いです。
- 会期
- 2022/7/9(土)〜9/19(月・祝) ※会期中、一部展示替えを行います。
- 開館時間
- 10:00 〜17:00(入館は16:30まで)
ナイトミュージアム:会期中毎週金曜日は19:00まで開館(入館は18:30まで) - 休館日
- 月曜日(但し7月18日、8月15日、9月19日は開館)、7月19日(火) 。
- 主催
- 三井記念美術館
- 入館料
- 一般 1,000(800)円
大学・高校生 500(400)円
中学生以下 無料- ※70歳以上の方は800円(要証明)。
- ※リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券のご提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
- ※障害者手帳をご呈示いただいた方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)。
- 入館
- 予約なしで入館できますが、1階入口で消毒と検温をお願いします。
37.5度以上の熱がある方は入館をご遠慮いただきます。入館にはマスクをご着用願います。また、展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。 - お問い合わせ先
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)